Bluetooth Low Energyの低消費電力

Bluetooth Low EnergyをこれまでのBluetoothからさらに低消費電力にできた要因は下記のものです。

  • パケット長を10〜最大47Byteと短くした(現在は最大265Byte)。ヘッダなどのオーバーヘッドも非常に小さい。これにより、送信側は、送信時間を短くでき、その分の消費電力を落とせ、同時に受信側も受信状態にしている時間を短くでき、その分の消費電力を落とせる。
  • ホッピングするチャネルを少なくした。スキャン用のチャネルは3つ。これにより、すぐに相手を発見できるようになり、発見する側、発見される側ともに、接続までの消費電力を落とせる。
  • 通信状態での生存確認の頻度を減らした。これにより、長い間、デバイスを省電力モード(32kHzとかの低いクロックで動作するモード)に入れておくことができ、電力を節約できる。

一般的な無線機器の低消費電力

一般的な話になりますが、電波は距離とともに減衰していくため、送信パワーが大きい方が遠くまで伝わります。また、同じ送信パワーの場合、電波にのせる時間あたりのデータ量が多くなるほど、データが崩れやすくなるため、伝わる距離が短くなります。
消費電力は、送信パワーが大きければ増え、時間あたりのデータ量が多くなれば増えます。
これは物理法則なので、誰も逆らえません。

普通、無線の規格では、これくらいの距離の範囲で、これくらいのデータ量の通信をしたいという要件があり、それに従い、仕様を決めていきます。

Bluetooth Low Energyでは、無線LANなどの他の規格に比べ、通信できる距離は短く、かつ、時間あたりのデータ量を少なくすることで、低消費電力を実現しています。
無線LANでは、100mくらいの範囲で100Mbpsの速度で通信ができるので、送受信時とも200mAくらいの電流を消費します(2016年現在の値で、半導体のプロセスによる値)。Bluetooth Low Energyでは、5mくらいの範囲で100kbpsの速度で通信ができるので、送受信時とも10mAくらいの電流を消費します(2016年現在の値で、半導体のプロセスによる値)。これらの電流は、送信時はパワーアンプという信号増幅器でほとんど消費され、受信時はLNA(Low Noise Amp)という信号増幅器でほとんど消費されます。なお、無線LAN, Bluetooth Low Energyに関わらず、データを送受信していない時は、CPUとタイマー機能のみが32kHzなどの低いクロックで動作しているため、1〜10uAくらいの電流を消費します(2016年現在の値で、半導体のプロセスによる値)。

無線の半導体を設計する上では、送信時、受信時の消費電力を小さくすることはもちろんですが、それ以上に待機時の消費電力を小さくすることに力を入れます。無線機器の場合、ほとんどの時間が待機状態のため、いかにその時の電力を落とせるかが鍵となります。